中国EV・車載電池企業のグローバル戦略
2024年において、中国新エネルギー車(NEV)の輸出・海外進出がさらに大きく拡大した。過当競争が続く中国国内市場から、利益率の高い海外市場へ向かう動きが本格化している。中国自動車企業は、NEVだけではなく内燃機関車の輸出も伸ばしており、各市場に合わせたマルチパスウェイ戦略を取っている。同時に、ファーウェイなど車載OS企業との連携により、人工知能(AI)が装備された車種を増やし海外市場を狙う。欧米とは通商摩擦の様相を呈する一方、新興国は総じて歓迎の姿勢を示す。最新の中国市場動向と併せ、海外13カ国・地域から日本企業へのインパクトを分析する。 ~日本貿易振興機構 JETRO 2024年12月27日 記事~
ホンダ・日産・三菱の経営統合の議論浮上
12月23日自動車メーカーホンダと日産自動車、三菱自動車は、経営統合をめぐる記者会見を開いた。3社連合が実現すれば販売台数は計800万台を超え、世界3位に浮上する。自動車業界の歴史的な転換点となるはずの会見に高揚感はない。ホンダと日産は2025年6月に統合契約を結び、持ち株会社を26年8月に発足させることを目指す。三菱自は25年1月末を目途に合流するか判断する。
- 大胆に踏み込んだ変革が必要
- 変化を恐れては未来を切り開けない
自由な気質のホンダと官僚的とされる日産の社風は「水と油」業界関係者と言われる。シャープを買収した台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が日産株取得に意欲を見せたことが統合協議入りを急がせた面もある。日産自動車は2024年度の最終利益を90%超減少、世界で9000人(日産従業員の7%)の人員削減計画の厳しい状況にある。
国が管轄する経済産業省も調整に関与しているのではないかと憶測が流れている。
世界のEV自動車生産は中国BYDと米国テスラが主導している中で欧米のEV自動車の勢いは縮小し、生産を大きく減らしています。トランプ大統領の当選でEV化にさらにブレーキが掛かると予測されます。
ドイツフォルクスワーゲン工場閉鎖危機
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環境規制への対応:EUでは、新規登録車の二酸化炭素排出量を2021年からは95g/kmまで抑制することが義務付けられています。これは日本の105g/km、中国の117 g/km、米国の121
g/kmと比較しても厳しい水準です。
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需要の減少:ヨーロッパの自動車市場は新型コロナの感染拡大前の規模に戻っておらず、需要が不足しています。
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コストの上昇:コストの上昇が課題となっています。
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中国メーカーとの競争:中国メーカーとの競争が課題となっています。
中国の国家戦略とテスラの戦略の脅威
強国2025の国家戦略 中国EV自動車産業の強化
中国でEVの生産が過剰となり、海外との間で摩擦を生じさせている背景には、政府がEVを支配的地位の確立を目指す産業分野の一つに位置付けていることがある。中国政府は、地方政府に「新質生産力」の強化を求めている。「新質生産力」の強化とは、高付加価値の製造業育成のことであり、EVもそこに含まれる。そこで地方政府の多くは、先を争うように、雇用創出につながる新たなEVメーカーの育成を図ってきた。
米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は、中国政府はEVやPHVなどを含む新エネルギー車産業を支援するために2009~22年に総額約1,730億ドル(≒27兆円)の補助金を支出したと試算している。
また、ドイツのキール世界経済研究所(IfW)の4月の報告書によれば、中国の自動車業界への公的支援策には、市場実勢を下回る金利での融資、割引価格での鉄鋼や電池の供給などが含まれる。
中国市場で昨年の販売台数が40万台を超えたEVブランドはBYD、テスラ、埃安(アイオン)、五菱(ウーリン)の4つにとどまった。この40万台がEVの損益分岐点との見方もある。それ以外の100余りのEVメーカーは、政府の支援によってかろうじて生き残っているのかもしれない。~野村総合研究所の記事掲載~
中国のEV自動車戦略に欧米は対応が厳しい
国家戦略で躍進を続ける中国自動車メーカー
中国を代表する中国EV自動車メーカーBYDはEV自動車に重要な車載電池の内製化と生産拡大によるコスト削減を行い世界に打って出ています。日本でもCMに日本の女優を使い宣伝しています。
欧米を中心にEV自動車販売ペースが下降し、中国の価格破壊に対抗しきれなくなっています。欧米では関税などで対応を余儀なくされています。中国国民は国家の示す新しいものへの関心が高く、都心部を中心に一気にEV自動車の比率が高くなっています。中国のEV+PHv車の需要は高くなって2000万台を突破しています。テスラも価格破壊に厳しい対応を迫られています。中国で採算の合うEVメーカーは4社で100社以上のメーカーは採算割れの厳しい状況があります。日本の三菱自、日産などのEV先行メーカーは撤退・減産に追い込まれています。
トヨタはHV+PHVによって中国計画を維持。
トヨタの新エンジン27年に中国へ先行
トヨタ自動車は現状ハイブリット車で対応できるとみています。しかし、EV戦略の波は一気に変革期を迎える可能性もあります。欧米ではEV自動車生産に戦略をシフトしていましたが、充電インフラ、航続距離、高額な車載電池、発火の危険性など解決しなければならないことが残されています。10年で車載電池を交換する必要性、中古自動車の下取り価格が低い?、まだまだ解決しなければいけない要素が多すぎる。欧米では顧客に理解を得られる状況に達していない。日本ではもっと遅れている。