ガザ地区を実効支配 イスラム「ハマス」
パレスチナは、1948年のイスラエル建国とその後の中東戦争、それに内部の対立を経てヨルダン川西岸地区とガザ地区に分断されています。
このうちガザ地区は、地中海に沿った、鹿児島県の種子島ほどの広さの土地に220万人以上が暮らしていて、イスラム組織「ハマス」が実効支配しています。
ハマスを敵視するイスラエルによる経済封鎖が続いているほか、軍事衝突で多くの民間人が犠牲となってきました。ガザ地区の周囲には壁やフェンスが張り巡らされ、移動の自由も制限されていて、「天井のない監獄」とも呼ばれています。 NHKニュース記事
ハマス奇襲攻撃! ロケット弾5000発
ハマスによる奇襲攻撃は7日午前6時半ごろ、ガザ地区からの大規模なロケット攻撃で始まりました。発射されたロケット弾の数について、ハマス側は5000発以上、イスラエル側は2200発以上だとしています。それと前後するように戦闘員がイスラエル側に侵入。ガザ地区はイスラエルが建設した壁やフェンスに囲まれて封鎖されていますが、イギリスの公共放送BBCは、検問所を含む7か所をハマスの戦闘員が突破したと分析しています。
フェンスごと爆破してそこから武装した戦闘員を荷台に乗せた複数の車がイスラエル側に侵入しているような動画もあります。さらに8日に公開された映像では、複数の戦闘員が海とみられる場所でボートに乗って水面を進む様子がとらえられています。 NHKニュース記事
ネタニヤフ首相我々は戦争状態にあると声明
イスラエル側は、ネタニヤフ首相が「われわれは戦争状態にある」とする声明を出して、報復作戦を開始。ガザ地区にあるハマスの拠点などに対して、連日激しい空爆を行っています。
一連の軍事衝突で民間人にも被害が出ていて、イスラエル軍などによりますと、これまでにイスラエル側では少なくとも900人が死亡し、およそ2700人以上がけがをしたほか、100人以上がハマスの人質になっているということです。一方、パレスチナの保健当局によりますと、ガザ地区で、これまでに770人が死亡し、およそ4000人がけがをしたとしていて、双方の死者はあわせて1600人以上にのぼっています。NHKニュース記事
ガザを実効支配するハマスとは
「イスラム抵抗運動」ハマスはそのアラビア語の頭文字をとったもので「情熱」という意味の単語にもなります。
1987年に発足したハマスは国家としてのイスラエルを一切認めない強硬な立場をとり、武力闘争を掲げて自爆テロなどを行いました。その一方で、市民に対する福祉活動も行い、市民の支持を得ました。そしてパレスチナの穏健派の政治勢力「ファタハ」との武力闘争をへて、2007年からはガザ地区を実効支配しています。
ハマスは、アメリカやEU=ヨーロッパ連合などからテロ組織に指定されていますが、イスラエルによる厳しい経済封鎖にさらされる中でも武器などを調達し、イランからの支援を受けているとも指摘されています。NHKニュース記事
なぜ、このタイミング?
50年前の第4次中東戦争の開戦日10月6日
まだはっきりしたことはわかっていません。ただ、ハマスによる奇襲攻撃が行われた7日はユダヤ教の重要な祭日の最中で、イスラエルにとっては不意を突かれた形です。さらに前日の6日は、50年前にイスラエルが突如、エジプトとシリアによる攻撃を受けて始まった「第4次中東戦争」の開戦日でした。その日はユダヤ教徒にとって最も重要なしょく罪の日「ヨム・キプール」でもありました。50年前の第4次中東戦争は日本の第一次オイルショックを生みました。
パレスチナの地にイスラエル建国の歴史
紀元前の昔から、地中海の一番、東の沿岸にある地域のことを「パレスチナ」と呼んでいました。中心地エルサレムはユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地があり、宗教上の重要な地域になります。
1948年(戦後)イスラエルというユダヤ人の国ができました。国となっていなかったパレスナチ人70万人との間で建国によって対立が起こり「パレスチナ問題」起こっています。
パレスチナ問題の二つの悲劇 ~世界の大きな対立の最前線で起こる中東戦争~
1つは、ユダヤ人が2000年の長い歴史の中で世界に離散し、迫害を受けてきた悲劇 やっとの思いで悲願の国(=イスラエル)をつくり、それを死守していきたい、二度と自分たちが迫害されるような歴史に戻りたくない。
1つは、パレスチナの地に根を下ろしていた70万人が、イスラエルの建国で故郷を追われたという、パレスチナ人の悲劇です。