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揺れ動く世界 経済活動が不透明で成長が鈍化

乱立する高層住宅建設が引き渡されずに工事が中断
乱立する高層住宅建設が引き渡されずに工事が中断

中国の高度成長を支えた不動産投資

  •  中国共産党習近平政権は、改革開放によって劇的な高度成長を成し遂げ、米国に対抗する巨大経済圏一帯一路構想を提唱しました。
  • 中国は先進国の歴史的な成長過程を14億人の民の労働力・消費力によって短期間に世界二位の経済国・軍事国家になりました。
  • しかし、行き過ぎた覇権主義による過度な成長戦略は限界を超えバブル化した社会構造が生まれています。
  • 習近平政権は社会の引き締めに「覇権国家として」米国に対抗する世界戦略を提唱しました。
  • 高度成長の中で行き過ぎた過剰投資による限界が現れ、2019年内政に向けた「共同富裕」の共産主義国家としての政策を掲げ社会、経済構造の転換を図っています。
  • 中国経済のGDPの30%を占める不動産投資への資金規制によって不動産事業が大きく制限され、破綻企業が表面化しました。
  • 中国国民は「住宅を持つことを夢見た社会」が大きく変わろうとしています。
  • 一方で国内・香港・台湾などに厳しい国家安全法を許可し、海外経済活動が制限され、投資が減速しています。

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米国はコロナと物価高を乗り越えた

世界一の経済大国の米国は、世界最大のコロナ感染国でエネルギー価格の高騰・物価高の中、国民の消費意欲が衰えず、FRBは繰り返し金利引き上げ、消費規制を行いました。トランプ政権に始まった対中国政策はバイデン政権になっても関税による規制と半導体など高度な技術輸出の制限を行い対抗する中国をけん制しました。アメリカはロシアのウクライナ戦争、台湾有事など世界戦略と自国の内政に翻弄されながら先進国・欧州の民主国家と共同歩調を取って徹底した対抗軸を作りあげています。日本とアメリカの二国間安全保障のもとで共同歩調を取っています。日韓の政治情勢の中で韓国新大統領のもとで「日・米・韓」の共同歩調が実現し、対北朝鮮・中国・ロシアを牽制し、東アジアの安定を構築しています。

ウクライナ問題とエネルギーで厳しいEU

EU圏の盟主ドイツが苦しんでいます。EUの最大の経済国家ドイツはロシアのウクライナ侵攻後、厳しい経済状況に追い込まれています。2005年~2021年の16年間ドイツ及びEU連合を率いたメルケル首相の存在がありました。メルケル首相は幼少期に東ドイツで育ち、東西ドイツ統一後、物理学者から政界に入り首相にまで上り詰めました。ドイツの党首としてG7(先進国会議)、EU連合、対ロシア、対中国と渡り合いドイツの政治、経済を牽引してきました。アラブの春以降、欧州に流れる難民をドイツが引き受けたことから、国民の支持を徐々に失い16年の首相の座と政界引退を表明しました。メルケル首相は東ドイツの経歴から共産主義国家であったロシア、中国とも渡り合い、経済交流を強固にしました。ロシアからのガス依存度を50%以上、中国でのドイツ車の生産・販売等の拡大に尽力し、国家の優等生としてのドイツを築き上げました。今この政策がロシアのウクライナ侵攻、と中国経済の停滞によってドイツ経済は大きく落ち込み、対中国政策など見直しを迫られています。