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中国の成長鈍化は世界経済に影響

中国は改革開放と14億人の労働力で成長

中国の高度成長を支えてきた改革開放による資本主義経済の導入と14億人の労働力による「世界の工場として」の成長戦略の糧として住宅不動産投資・高速鉄道・高速道路網などのインフラ整備に潤沢な資金を投入し成長の礎を築いてきました。日本の高度成長の中国版が巨大なプロジェクトとして進められてきました。2009年のリーマンショック時も積極的なインフラ投資を行い沈みゆく欧米諸国の中で中国は成長を続け世界2位の経済大国になりました。

経済成長と併せ世界2位の軍事強国へ

2012年習近平政権誕生の中で新たな戦略として「一帯一路構想」「AIIBアジアインフラ投資銀行」など世界に向けた戦略を打ち出し、経済大国・軍事大国の歩みを加速しました。一帯一路構想の陸路・海路を描き中国経済の生産・物流ルートを描き「共に発展しよう」として広がりを続け、南シナ海の海の岩礁を埋め立て軍事拠点として隣国に脅威の領土拡張を計り強大化する軍事力を誇示して実効支配を試みています。台湾への軍事圧力も強めて台湾を含む南アジアの脅威となっています。

AIIB(アジアインフラ投資銀行)

アジア太平洋諸国のインフラ整備を支援するために中国が主導で設立している国際開発金融機関です1。2015年に57カ国を創設メンバーとして発足し、2023年1月現在、加盟国は106カ国・地域となっています2。AIIBは、アジアのインフラ整備に対する需要を満たすために設立されました。

中国主導で設立されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、1966年設立のアジア開発銀行(ADB)と比較して、運営の歴史や職員数において問題があるとされ、懸念が示されています。AIIBとADBの違いは、設立された時期や加盟国の構成、運営の歴史や職員数などが異なることです。中国が主導したAIIBは、アジアのインフラ整備に対する需要を満たすために設立されました。日本もAIIBの創設メンバーの一員ですが、運営や裁量は中国が主導しています。AIIBの貸付以外に中国が直接融資している国があるようです。

中国は、一帯一路のもと、投融資をセットにしたインフラ開発を進めています。報告書によると、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行による15年以降の融資は、すべて融資条件についての守秘義務条項が付いていたとされています1。また、一帯一路の導入以来、助成金1件に対し、融資31件という割合で発展途上国に資金を提供していることが報告されています2。MicrosoftEdgeチャットで掲載 補足

中国の成長鈍化は世界経済に影響

中国は、リーマンショック・新型コロナウイルスのゼロコロナ政策で世界経済をリードしましたが、過度な政策の行き過ぎもあったと思われます。これからは世界の国々と向き合って新たな展開が望まれます。

日本も中国と共に新たな道筋を見出す必要が求められています。

日本のバブル経済崩壊後に似てきた中国

2019年度に恒大集団の巨額債務の懸念が報道され、中国バブル経済が表面化しました。習近平政権は混迷する中国社会の歪を「共同富裕」思想を掲げ、行き過ぎた経済社会の構造改革の実践を始めています。地方政府が競うように国の土地を不動産事業者に貸し出し高層マンション建設を加速させました。しかし、共同富裕の中で習近平政権は不動産事業者への貸し出しを制限しました。恒大集団が34兆円の巨大債務を抱え、中国に250社ある大手不動産事業者も厳しい環境にあることが表面化しました。

「共同富裕」の中に不動産以外にも中国社会に懸念が潜在

中国の社会構造に問題が生まれ、一党支配の習近平政権は「共同富裕」思想を掲げ、社会の歪を改善する方針を打ち出しています。経済成長が低成長に変わり、世界の工場としての成長が一部限界に近づき、急成長の減速が表面化してきました。地方への高速鉄道・高速道路も行きわたり、過度な住宅建設が地方財政によって過剰となり、大学卒業生をベースに若者の失業率が20%を超えるなど、若者の就職難や少子高齢化などの問題が生じています。また、内向きな「国家安全法の施行」「南シナ海の岩礁埋め立て軍事空港化」「経済発展と軍事強国へ」「世界一の生産強国へ」「宇宙への戦略」など世界が懸念する強国化の懸念もあります。