黒田総裁の任期(来年3月)前に決断?
12月20日日銀の政策決定会合で0.25%の利上げを決定。午後の市場は一気に7円高、株価は800円近い暴落となり金融市場は日銀のサプライズ決定に動揺が走り指標が大きく変動しました。アベノミクスから一貫して日銀が政府一体となって進めるゼロ金利政策に一定の違和感もありましたが、頑なな黒田総裁の任期が来年3月と迫る中、+0.25%の小規模な政策決定に市場関係者は大きな反応を示しました。6月のアメリカの連続した金利引き上げに円は150円の円安になり「弱い円」で動揺したときも一歩も動かず、政府による2度の大規模な市場介入による調整を行いました。経済界などから過度な円安は容認できないとの反応の中で日銀は利上げの時ではないと言い続けてきました。
輸出入、事業金利、住宅金利に影響
2013年安倍政権発足で低迷を続ける日本の経済政策にアベノミクスによる異次元の金融緩和を打ち上げた日銀黒田総裁はデフレ脱却の重要性を主張し続けて10年を迎えます。10年間2%の物価上昇がなしえない日本社会において金融緩和を続け市場に資金を投入し続けました。しかし、日本の消費意欲は踊ることなくインフレ誘導は実現しませんでした。世界は物価上昇が顕著に表れ、米国は重ねて金融引き締めの金利引き上げを実施し、欧州のユーロ圏も上昇の金融政策に舵を切りました。ロシアのウクライナ侵攻は原油・ガスのエネルギー価格の高騰を招き急激なインフレ懸念が起こりました。日本だけが取り残される状況に追い込まれていました。単純に金利差による資金が日本から流出することが明白な中、金融緩和の重要性を主張して日銀は「ゼロ金利」を継続する決定を続けました。
コロナ長期化は世界の生産・物流に影響
2020年1月中国武漢市で新型コロナウイルス発生でロックダウン(都市封鎖)が起こると瞬く間に第1波が広がりを見せ中国の一帯一路(シルクロード)を経由してイラン~イタリアへ感染拡大し世界は混乱の中にありました。日本は感染対策でマスクの供給に苦心しました。日本のマスク生産は全て「中国工場」の委託生産で一早く中国政府が生産・流通を制し、日本への入荷が不透明になりました。早くから感染情報を入手していた台湾に支援を依頼する事態が起こりました。コロナ関連生産・物流の始まりの一歩です。中国の委託工場は中国に握られ日本に入ってこなくなり、2020年4月政府は未だに不透明な布マスク「アベノマスク」を日本国民一人二枚配布(260億円)騒動が起こりました。中国で生産していたアイリスオオヤマなど一部に日本回帰の生産に切り替える行動が発生し、シャープは亀山工場の一部をマスク生産工場に転換しました。
海外生産の大きな転換期が起こっている
世界に感染が拡がり生産・物流が滞留
中国上海・米国サンフランシスコなど世界の主要な物流拠点が大混乱を起こし世界の物流が大きな障害を受けました。
- コンテナがどこにあるかわからない
- 港湾に物が滞留して処理不能状態
- 港の周りに入港できない船が停泊
- 荷物を陸揚げしてもトラック不足
- 感染による人出不足は深刻な状況
色々なことが重なり海運コンテナヤードが機能不全に陥り、必要なものが届かないことで、商品や部品の不足で生産・商流が滞り、大きな損失に発展する混乱がコロナ禍の各地で興りました。日本は中国や東南アジアに委託生産をしていた影響で大きな損失に繋がりました。懸念していた一か所集中委託生産の危険をもろに受け、生産拠点の見直しの検討に着手する投資は簡単に生み出せるものではありません。移転・撤退することで大きな損失と投資の必要性が待ち受けます。
米中貿易摩擦の影響が世界に影響
2018年に勃発した米中貿易摩擦による「関税合戦」による影響は2019年になっても互いに譲らず(米中間)すべて物品に対する関税の掛け合いで米中間に留まらず、各国にも大きな影響をもたらしました。急成長を続ける中国と貿易不均衡を主張するアメリカの自国第一主義の一方的な要求に中国は対抗する形で中国は報復を繰り返す泥沼の争いに発展しました。世界の工場として「安い労働力」を活用して、世界は中国に進出して委託生産を続けてきた大きな負の遺産が積み重なり、世界2位の経済・軍事大国となった中国の脅威は留まることなく成長を続けました。アメリカは一番懸念した知的財産権の侵害を盾に中国に対して厳しい対応を迫った。クローズアップされた5G(第5世代通信技術)技術がファイウエイ(国策企業)の世界通信網が広がる中で世界の情報が中国に情報漏洩が起こることを米国が厳しく指摘し、ファーウエイの通信技術を使用しないことを各国に要請した。
アメリカは徹底した情報戦略に対して中国関連企業との停止と関係国に対して5Gの排除を要請した。先進国を始め多くの国は中国製5Gの設置を見送る判断をしました。過去から知的財産権に対する認識の違いは指摘されてきましたが、軍用など幅広い分野にも流用できる技術の流失を牽制し、今最大のターゲットは半導体の技術・及び生産の移転を厳しくチエックしています。
「ゼロコロナ政策」を続けた中国と他国の違い
「ゼロコロナ政策」を続けた中国
2020年1月20日中国習近平主席の武漢市で発生した新型コロナウイルスによる都市封鎖(ロックダウン)による「ゼロコロナ政策」は習近平主席の大きな功績として、翌年中国の社会経済活動は正常に戻り、他国は混乱の中で第3波~4波と変異株によって感染拡大が繰り返されました。中国には重要な管理社会が存在し幾つもの不安定要素が潜在している中で「ゼロコロナ」を最善の策とした。
- 世界最大の人口14億人の人民がいる
- 医療体制の零弱さ、都市部と農村部
- ワクチン開発の国産化の是非
- マスク外交と国産ワクチン外交
徹底したゼロコロナの最大の懸念は中国国内の医療体制の懸念があるのではないかと指摘されてきました。2022年2月には北京冬季オリンピック開催、10月には5年に一度の共産党大会と習近平3期目の続投が待っていました。夏には上海の2ヶ月に及ぶロックダウンで上海経済と住民に大きな負担が伴い、ゼロコロナ政策の懸念が表面化しました。しかし、共産党大会が終わるまで徹底した管理社会を続け、3期目の習近平政権が動き出しました。しかし、世界はコロナの変異株で2022年は6~8波の感染力の強いオミクロンの変異株と共存の道を選択験しています。中国はゼロコロナの中で徹底したPCR検査で一人でも感染者が確認されたら隔離病棟に送る徹底ぶりで、各地で「市民が爆発」白い紙をかざす無言のデモが勃発し、習近平政権はゼロコロナの撤回を示して今、2週間目で感染者数が把握できない数値になり、死者も多数出ていると言われています。