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中国・習近平体制10年に忍び寄る「内憂外患」

中国共産党は闘争と改革成長の歴史

毛沢東の死:権力闘争による悲惨な文化大革命(1966~1976年)運動が終わりました。

鄧小平が復権:集団指導体制を敷き改革開放・先富論・社会主義市場経済(1978年~)を唱え、先進国からの支援と投資、14億の民と労働力活かし改革、江沢民・胡錦涛政権を経て世界の工場として急成長の基盤を造り世界2位(2010年)の経済大国になりました。

習近平政権:世界2位の経済国家と潤沢な財政基盤をもとに陸路と海路の「一帯一路構想」を掲げ、中国版アジアインフラ投資銀行「AIIB」の設立(2021年103カ国参加、米国・日本は不参加)など野心的な中国の世界戦略を掲げました。習近平政権は国内を固め、世界に戦略を広げ、2030年にアメリカを抜いて世界一の経済・軍事国家を目指す壮大な計画を推し進めてきました。

「共同富裕」を掲げる習近平政権の危機

日本の26倍の国土と約14億人の人口を有する中国は、世界の工場、世界の胃袋と言われる旺盛な消費によって脅威の経済成長を遂げてきました。

旺盛な消費意欲を見せる中国人は、全人口のうちのごくごく少数。富裕層は400万人未満と言われており、経済未発展の農村部には約9億人が暮らしています。 中国は毛沢東主席の共産主義革命「文化大革命1966~1976年」内紛・政治闘争に明け暮れ失敗、復権した鄧小平が提唱した改革開放、社会主義市場経済、先富論で中国の発展が起こり江沢民・胡錦涛政権を経て世界第2の経済大国になりました。2013年習近平政権が生まれました。1991年共産主義ソビエト連邦が崩壊しロシアを含め民主主義国家が生まれました。中国は共産党一党支配の元で成長を続けました。しかし、巨大国家中国の習近平3期目の政権に多くの歪が生まれ、国内において「格差の拡大」が起こって、2期目習近平は「共同富裕」を掲げ国内の安定を計ろうとしました。

急成長の過程で格差拡大が起こる

中国の高度成長の影に富と貧困の格差拡大

中国は脅威の経済成長を遂げ1億人の中間富裕層が生まれています。一方で農村部・山岳部と自治区、少数民族で構成され9億人の貧困層も存在します。共産党(党員9500万人)一党支配の専制主義国家のピラミッドの頂点に習近平が就き(共産党・国家・軍のトップ)2期10年、秋に3期目の続投を決める党大会を迎えています。しかし、中国成長の過程で生まれた歪な社会を是正するため「共同富裕」を掲げ矢継ぎ早に抑制策を行っています。しかし、過剰に積みあがった債務は日本のバブル経済の債務を上回っていると言われています。何故「共同富裕」という毛沢東思想(文化大革命)の先祖返りに舵を切ろうとしているのかわからない。2022年GDP+5.5% の計画の中で4~6の期間+0.4%は実質はマイナスに陥っている懸念が出ています。

共同富裕を旗印にバブル経済の是正

中国の急成長の過程で起こっているバブル経済について27年前の日本のバブルと比較して警鐘を鳴らしています。1991年過剰な金融政策と不動産投資によって日本バブルが崩壊し長期の平成不況を招きました。2008年9月リーマンショック(アメリカの銀行破綻の要因は2006年頃の不動産不況に銀行がサブプライムローン(不動産と金融を組み込んだ仕組み)を世界に流通させ破綻した。画像は日本の不動産バブルと27年経過した中国の民間債務比率をグラフに重ねると厳しいバブル状況にあることが分かります。中国も気づき「共同富裕」の旗印で不動産の金融引き締めを図っています。日本は日銀が金融の総量規制、借入利率をあげる、国は固定資産税の引き上げなど政策を総動員して規制強化に乗り出しバブル崩壊が起こりました。中国も過剰な投機による不動産金融規制を始めました。成長を続ける中国経済に衝撃的なニュース「恒大不動産」34兆円の債務返済が厳しい情報が飛び込んできました。中国政府、地方政府も表面に出ず、利払いなどの可能性が随時報告される状況にあります。巨大な国土と人口による巨大債務が表面化し、大手不動産240社の危機的状況も刻々報道されています。日本のバブルも多くの不動産事業者、大手建設業、大手企業、中小事業者、個人の破綻と金融機関の破綻が起こり、政府は過大な救済に乗り出しました。中国は不動産事業者、建設業者の破綻が投資している国民にも及んでいます。地方政府と国有銀行の救済と国家の救済策が問われています。

「共同富裕」表現でバブル経済の抑制

最高指導者 習近平しかわからない「共同富裕」の名のもとに毛沢東の思想の再現に先祖返り、改革開放の鄧小平「先富論」も封印して難局を乗り切ろうとしています。感染元中国の過剰な抑制策「ゼロコロナ」は唯一の方策としてオミクロンになっても徹底しています。

世界支配を目指す中国の勢いに陰り

2月4日 北京オリンピック前にロシアプーチン大統領を招待し ”中露会談でロシアのウクライナ侵攻の密約” を行い、軍事大国ロシアが、2月24日ウクライナへ侵攻を開始、5カ月を過ぎても激しい空爆と陣地の奪い合いが続いています。NATO連盟、先進7ヵ国(G7)も厳しい制裁を行ってウクライナ支援を行っています。共産主義を基軸とした専制主義の大国はプーチン×習近平によって仕掛けられています。ゼロコロナとウクライナ侵攻によって世界の工場にも多くの懸念が示され、中国のバブル抑制策と重なり「内憂外患」の厳しい環境にあります。日本も最大の貿易相手国で混乱に大きな懸念があります。