千葉房総半島の海岸線を走る区間の溶融メッキした金属の腐食に関する検証が報告されました。検証のキーワードは、重塩害区間・腐食を防止・設備の長寿命化・ビームで腐食が激しいボルトナットで6社の防錆技術の検査結果の比較評価が報告されました。 JR東日本
公共交通機関のJR東日本が塩害の金属腐食の検証と対策について文献で発表
1.はじめに
・重塩害区間の亜鉛メッキの塗膜の薄いボルトナットの腐食の進行が速く計画的に取替を実施
している。
・本研究ではボルトナットの腐食防止、設備の長寿命化を図り、コストを考慮した取替計画
の策定が行える防錆処理について検討。
2.現状について
・支持物のビームは溶融亜鉛めっき鋼で50年以上の耐久性が期待されていた。しかし、早い
時期のめっきが消失するため塗装による延命を図っている。取り換えも行っている。
・ボルトナットの亜鉛めっきがJIS規格の半分のため腐食の進行が早く9年で取替もある。
3.検証方法の検討
・東日本旅客鉄道㈱のテクニカルセンターの装置を利用して試験を実施する。A・B・C社の
防錆処理とD・E社の表面処理とし6種類を各3資料を用意し、計18資料で検証する。
重塩害区間の金属腐食対策についての考察 JR東日本 PDF
鉄道会社による塩害の金属腐食検証
検証結果 塩水噴霧試験結果 (塩水濃度、噴霧量、28年間に相当となる280サイクル)
・A社製防腐処理を除き、各資料(図4)ともボルトナットに赤錆が発生している結果となった。E
社製では10年に相当する100サイクルで赤錆の発生が確認された。また、B社・C社製の防錆
処理を施した物は、防錆剤の内側より赤錆が発生し、膨張した赤錆により防錆塗膜の一部が剥がれ
ている状態であった。
・A社製の防錆処理を施した物については若干の白錆が発生している程度であり、唯一赤錆が発生
しなかったため、今回の試料の中で最も有効な防錆剤であると考えられる。
・D社製表面処理βはボルト頭部の腐食が軽度であり、外観上の強度に問題ないと考えられるため、塩
害区間においても30年程度の使用が可能と思われる。
・平成29年度の工事において、固定ブラケットの取替え時にD社製防錆処理βを施したボルトナット
を試導入し、経過を観察する。また、A社製防錆剤についてはVトラス等の大型ビームのボルト
ナットに施すのが有効であると考えるため、地上でビームを組んだ後にA社製防錆剤をボルトナッ
トに施す工程が最良と考えられる。平成29年度の工事においてVトラスビーム取替が予定されて
いるため、A社製防錆剤を施して経過を観察する。
文献 ㈶鉄道総合技術研究所 清水 大輔(東日本旅客鉄道株式会社)著
「溶融亜鉛めっき鋼の腐食状態を用いた腐食環境の推定に関するー考察 2017/5/11
*A社製防錆剤とはアルバー工業製CCP-117になります。最高の評価を受けました。
超豪華列車の旅 四季島
2017年5月1日 運航開始
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)が運航する
超豪華列車 四季島の旅で停車する8駅に防錆剤CCP-117が採用され、昨年秋に大規模に塗布されました。
JR東日本からも信頼される塗料として評価を受けています。
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